地域資源利活用研究センターとは
ミッションの再定義が策定された現在、地域生物資源を活用した産業活利活用センターイメージ2.pdf性化に積極的に参画し地域経済の発展に貢献することは農学生命科学部の大きな責務の一つである。本センターは、大学の付属教育研究センター見直しを受けて、これまでに行ってきた「白神研究」、「リンゴの科学」、「ナマコ研究」、さらに「津軽地域の未開発遺伝子資源の有効活用研究」を統合し、地域研究をさらに発展しようというものである。
本研究センターでは「微生物」、「農産物」、「海産物」、「畜産物」を横軸とし、「新種・新規物質探索」、「有用性の開発」「科学的エビデンスに基づく機能の付加」、「品種改良・栽培法・飼料開発」、「市場調査・輸送法研究」、「ブランド化研究」といった研究ステージを縦軸に考え、教育研究を展開する。また,青森県産業技術センターや中国延辺大学,タイ王国コンケン大学の研究チームと年に一度の共同シンポジウムを開催し,共同研究を推進することにより,地域とのマッチング,さらに研究展開の国際化を図る。青森県と共同研究を測ることは,自治体による経済的支援及び,本学の目指すCOCの視点から重要と考えている。
本研究センターでは,地域を代表する産物の更なる高価値化のみでなく、潜在あるいは未流通の遺伝子資源にその有用性などを科学的知見に基づき付加することで本学の知的財産の構築すること,それらの商品化などを通して地域経済の発展に貢献すること,さらに,上記研究領域における学生の技術者としてのスキルアップを実現,高度技術者として地域企業へ学生の輩出すること等を第一の目標としている。
研究展開の紹介
「微生物」
弘前大学の位置する津軽地域は豊かな自然に囲まれ,また未開な白神地域を中心に豊富な未知の遺伝子資源の存在が期待される。さらに寒冷な気候も合わせて,本地域の微生物二次代謝物には特異且つ新規な有用物質が潜在している。また本学農学生命科学部には合わせて3新科,11新属,65新種を含む4500株以上の生態学的に興味深い微生物のコレクションがある。これまでの研究では、本コレクションには極めて高い確率で新規二次代謝物が見出されており、これらの生物活性、薬理活性などを明らかにし、本学知的財産を構築する。また、コレクションの更なる充実に努め、ケモタクソノミー的視点から新たな微生物学を展開する。
「農産物」
まず、津軽地域の代表的農産物は「りんご」である。メンバーの一人である松本らはリンゴの新たな商品価値を見出すべく果肉の赤いリンゴ「紅の夢」を開発し、地域生産者の期待が高まっていることは言うまでもない。今後、効果的な栽培法は言うまでもなく、加工法や流通などの点から経済価値の更なる付加を検討する。端境期における高品質リンゴの開発など、リンゴ研究には終わりは見えない。また、本地域特有の「清水森ナンバ」「野生カタクリ」など本研究センターの目指す題材は尽きることが無い。一方、米ぬかなど農業廃棄物の有効活用は経済的のみならず、カーボンリサイクルの視点からも大学研究として重要である。既に米ぬかの米粉パンへの利用など、本チームでは研究が展開されている。また、現地点では経済的に負と考えられる五所川原地域の葛などに機能付加をすることができれば、地域経済に果たす役割は大きい。農産物では土壌の製品の品質に与える影響は大きい。そこで、土壌改良、肥料開発なども同時に展開する。
「海産物」
本地域の「ナマコ」は高品質でその評価は世界的にも高い。しかし、乱獲によるナマコ資源の減少、国内生産品のほとんどが中国への輸出に回り国内消費がほとんど無いなどの課題がある。本学部ではこれまで積極的に「ナマコ」の増養殖、機能性成分や市場流通の研究に取り組み、地域からも高い評価を受けている。本研究センターにおいても中国海洋大学、中国揚州大学、大連海洋大学などと連携を行い引き続き研究を行う。また「ツルアラメ」研究では、これまで経済的価値はないとされてきたが、本学研究により商品価値が見出され、いくつかの製品も生み出されている。一方、「ホタテウロ」、「シジミ貝殻」のように経済的には負の要素が高い。