教員紹介

食料資源学科 食料バイオテクノロジーコース

千田 峰生 教授

SENDA Mineo

専門分野:
作物ゲノム学

  • キーワード:
  • 大豆
  • 低温障害
  • 低温着色
  • 低温裂開
  • 抵抗性
  • DNAマーカー

研究内容

節分にまく豆を想像してほしいのですが,大豆の色は黄色です(写真1)。しかしながら,ウイルス感染,突然変異,開花後の低温によって,黄色い大豆が褐色に着色されることがあります(写真1)。このような着色は大豆の品質を大幅に低下させ,農家の収入減少につながるため,その着色防止が望まれます。本研究室では,なぜこのような着色が大豆に起きるのかについて遺伝子レベルでの解明を行っており,得られた知見を基に大豆の着色防止に役立てたいと考えています。中でも開花後の低温により大豆のへそ周辺が着色される低温種皮着色(「低温着色」と省略,写真1)は,大豆の主力産地である北海道とくに道東部において起きている現象であり,低温着色が起きにくい「低温着色抵抗性品種」の開発が求められています。低温着色抵抗性品種の開発のためには,寒冷地圃場や大型人工気象室を用いた低温着色抵抗性検定による抵抗性個体選抜が必要でした。しかしながら,寒冷地圃場で開花後の低温が起きるかどうかは不確実であり,大型人工気象室では開花後低温状態を再現するのに多くの電気代がかかります。このような状況で近年注目されているのが,DNAマーカーを用いた抵抗性個体選抜です。DNAマーカーを開発するためには,原因遺伝子を突き止める必要があります。本研究室では,大豆の種皮着色を抑制する遺伝子候補領域を単離しました。それを基に低温着色抵抗性個体を選抜するDNAマーカーを開発し,「Icマーカー」と名付けました。

写真1

写真1

写真2 低温裂開

写真2   低温裂開

低温着色以外に開花後の低温で生じる低温障害として「低温裂開」があります。低温裂開とは,低温着色と同様に開花後の低温で生じる低温障害です。典型的な低温裂開粒は大豆背側の種皮が大きく裂け,中の子葉が開いています(写真2)。低温裂開粒は低温着色粒よりも種子の傷害程度が大きく,廃棄処分されてしまうため,大豆の収穫量減少につながってしまいます。そのため,低温裂開抵抗性品種についても開発が求められています。興味あることに,私たちが開発したIcマーカーは低温裂開の抵抗性個体選抜にも有効であることがわかってきました。今後更なる研究成果の発展が期待されます。

2023年2月21日 更新
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