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リンゴモニリア病病変部 実腐れを起こし褐変している (岩木町, 2002. 6)
病原菌 Monilinia mali (Takah.) Whetzel
病徴  葉、花、幼果に発生がみられる。葉では展開期から展開10日後ぐらいの、若い状態の葉に感染が起こり、発病する2)
 初め褐色円形〜不正形の小斑点が生じ、やがて葉脈を通して褐変が広がり、中肋から葉柄が侵される。この状態を葉腐れという。つぼみから開花頃にかけて、病変部は葉柄から花叢茎部に広がり、花叢全体が萎凋する。この状態を花腐れと呼んでおり、葉柄などに灰白色、粉状の大型分生子が形成される2)12)
 形成された分生子は開花中の柱頭から侵入し、幼果が侵される。病変は内部から進行し、やがて幼果の表面がわずかに褐変するようになる。また、その表面にしばしば褐色の粘液を溢出する。この状態を実腐れという。病変が果梗から果叢基部に広がると、果叢全体が萎凋するようになる。この状態を株腐れという2)
 被害果は落下して、やがて乾燥しミイラ状になり、翌年の発生源となる11)12)
伝染  本菌は被害幼果中に形成される菌核の状態で越夏・越冬し、菌核は積雪下で発芽を始める。そして、気温の上昇とともに子実体の生育がすすみ、翌春リンゴの発芽期頃に、子嚢(しのう)盤が開盤し始め、開花期頃まで続く。子嚢胞子は、子嚢盤より噴射され、風によって飛ばされ、若い葉に侵入して病斑を形成する。子嚢胞子は葉の表面からのみ侵入し、潜伏期間は12〜13℃ で7〜10日である2)12)
 被害葉上に形成された分生子は、直接葉に侵入することはないが、開花中の柱頭に付着し、発芽侵入し、実腐れを起こす。開花期を過ぎると、その年の発生は終わる。罹病幼果は落下し、地上で菌核化が進み、8月下旬頃には成熟し、低温 (0〜5℃) に一定期間遭えばいつでも発芽出来る状態になる2)