リンゴ疫病罹病果 (藤崎農場 1989. 2)
病原菌 (1) Phytophthora cactorum (Lebert et Cohn) J. Schrter
(2) Phytophthora cambivora (Petri) Buisuman
(3) Phytophthora syringae (Kleb.) Kleb.
病徴  果実や幹に発生する場合と、台木の地際や根に発生する場合がある。果実に発生した場合、幼果では果皮に淡い小褐色斑紋ができ、2〜3日で全果が褐変して落下する。成熟果では、はじめ1〜2cm、淡褐色、円形〜楕円形の病斑ができ、果肉部分はやや弾力性をおび、少し褐変し、水浸状を呈することもある。後に、拡大し褐色となる。長期貯蔵した被害果は、全体暗褐色に腐敗し、果面にしわを生じる。
 台木では、地際の主幹と幹とが皮層から木質まで褐変、腐敗するが、地中に伸びた根の先端は健全である。発病樹は樹勢が衰弱し、葉は小形化し、初秋には紅葉が早く、紫色を呈し、落下が早くなる2)3)
伝染  病原菌 (1) (2) とも土壌中で卵胞子、あるいは罹病組織中の菌糸の形で越冬する。その後、降雨や灌漑などで水分が供給されると卵胞子あるいは菌糸から遊走子嚢(しのう)が形成され、ここから遊走子が放出されて、雨滴のはねあげで根または果実に伝染する2)3)。果実に発病した場合幼果では6月頃の梅雨期に雨が集中して降った年に多く発生する2)