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リンゴ銀葉病罹病葉 (藤崎農場 1989. 11)
病原菌 Chondrostereum purpureum (Pers.: Fr.) Pouzar
病徴  葉における病徴は、病名の通り葉が銀色に鈍く光るのが特徴で、一見して健全樹との区別がつく2)。罹病葉は生理機能が衰え、薬害などを起こし、早期落葉するのが普通であるため、罹病樹は樹勢が悪くなり衰弱する2)4)。罹病葉が鉛色に変色するのは、元の枝や幹の組織内に病原菌が繁殖し、組織を死滅させて毒素を分泌するためである。この毒素により葉の表皮が葉肉から離れ、その間隙に空気層ができ、光が乱反射して鉛色に見える2)4)。罹病葉は夏から秋にかけて表皮の一部が破れ、葉肉が裸出して褐色となる8)
 病原菌に侵されている部分の木質部は暗褐色に変色する4)。枝または幹の一部が枯死することもあり、秋頃にそこへムラサキウロコタケと呼ばれる子実体を形成する2)4)
 罹病樹の果実はやや扁平で小さく、蜜が入りやすい11)
伝染  罹病樹の枝幹部に生じた子実体に形成された担子胞子が伝染源となる。感染は新しい剪定痕などの傷口から起こり、1ヶ月以上経過した古い傷口からの菌による侵入はほとんどない2)。病原菌は樹体の辺材部で繁殖し、1年間に50〜90cmの速度で進展する。この繁殖は衰弱樹で早く、健全樹では遅い11)。秋口に樹皮の枯死部または大枝の切り口に、ムラサキウロコタケと呼ばれる子実体を形成、表面に無数の担子胞子を形成して周囲に飛散伝播する4)。胞子の飛散は子実体形成期 (9〜10月) から翌年の6月まで持続する。胞子の飛散と降水量との間には密接な関係があり、湿潤状態にあると胞子が放出される。胞子の飛散量は2月頃が最も多い。潜伏期間は短い場合で約40日である2)