2021年12月06日 | トピックス

本学名誉教授の佐野輝男先生による日本学士院賞受賞記念講演が、令和3年11月26日(金)に弘前大学創立50周年記念会館みちのくホールで行われました。新型コロナウイルスへの対応として、対面形式での参加を制限しつつ、Zoomによるオンラインと動画のオンデマンド配信も行うハイブリット方式での開催となりました。当日は対面で67人、オンラインで80人に参加いただき、またオンデマンドでは53人の方々に動画を視聴いただきました。

日本学士院賞は特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授与される最も権威ある学術賞です。先生は第110回(令和2年)に「ウイロイドに関する研究」で受賞されました。講演では、初めに授賞式の様子をご紹介いただきました。授賞式は1年延期され、令和3年6月21日に、東京(上野公園)の日本学士院で天皇皇后両陛下御臨席のもと行われました。例年であれば両陛下に直接、研究内容の概要を御説明申し上げるそうですが、新型コロナウイルス感染防止のため、パワーポイントのスライドを3枚使い、2分以内の概要説明をビデオ撮影するという方法での研究紹介になったとのことでした。

ウイロイドは最小の植物病原体で1971年の発見(命名)以来、今年でちょうど50年にあたります。先生はウイロイド研究の黎明期から現在に至るまで40年にわたり本病原に関する先駆的・革新的な研究を展開され、世界のウイロイド研究をリードしてきました。講演では、ホップ矮化病の伝染源植物の解明や、ウイロイドの病原性を制御する分子構造と病原性発現機構といった、植物病理学分野における基礎的な学術研究の成果の一端について紹介いただきました。くわえて、ウイロイド抵抗性作物の開発や、ウイロイド病の診断・防除新技術の開発および普及といった、植物保護および植物検疫等の実用的分野への寄与についてもご説明いただきました。

日本各地で問題になっている植物病害の診断依頼に対し、先生が丁寧に対応されてきたこと、そのような地域貢献を通じて、新たな研究材料の取得や、新病害・新病原の発見があったことが伺い知れました。「同じ研究を続けていても5年位しかもたない」というお言葉も印象的でした。共同研究者を得ながら、常に新しい技術や発想の取得に挑戦され、それまでにない概念を構築していく姿勢に、研究者としての理想像を見た気がしました。

 

 

 

 

 

【受賞報告】 本学部佐野輝男教授が2020年度日本学士院賞を受賞しました

 

http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/tell/12116