教員紹介

生物学科 生態環境コース

橋本 洸哉 助教

HASHIMOTO Koya

専門分野:
生物間相互作用学

  • キーワード:
  • 植物-昆虫相互作用
  • 表現型可塑性
  • 間接効果
  • 人為攪乱
  • 非線形時系列解析

研究内容

自然界の生物は、競争関係、捕食-被食関係、共生関係といった、様々な相互作用で互いに結ばれています。このような生物同士の関わり合いの実態と、それが生態系にもたらす波及効果の解明が本研究室のテーマです。これまで、植食性昆虫群集とその寄主植物、植物・動物プランクトンを含む水生生物群集を対象に研究を行ってきています。

植物の被食防衛が陸上生物群集に与える影響

植物は、植食者を始めとする多様な生物を、餌資源あるいは生息場所として支えることで、陸域生態系の基盤となっています。一方で、植物は植食者にただ食べられているだけではなく、自分の身を少しでも守るためにあの手この手で被食防衛を行っています。こうした植物の防衛戦略は、植食者の個体数や適応度に影響し、その影響はさらに上位栄養段階の生物まで波及していきます。こうして形作られた動物群集は、そこにある植物にどのような食害が起こるかを規定し、最終的に植物の適応度にフィードバックしていくと考えられます。当研究室では、植物の被食防衛が陸上生物群集にもたらす波及効果を理解するための研究を行っています。

ウマノスズクサとそれを専門に食べるジャコウアゲハの幼虫

ウマノスズクサとそれを専門に食べるジャコウアゲハの幼虫。ウマノスズクサはアリストロキア酸という強力な毒で植食者から身を守っているが、ジャコウアゲハはその毒に適応しているどころか、毒をそのまま体内に蓄積して自身の被食防衛に流用している。(京都府京田辺市)

生物間相互作用を介した人為影響

農薬施用や温暖化など、人間活動の影響の理解・予測にも生物間相互作用の理解が不可欠です。人為攪乱は、時として、相互作用を介した予想外の影響をもたらします。たとえば、除草剤は昆虫ではなく植物を標的として開発されており、昆虫に対して強い毒性をもつことは稀です。しかし、植食性昆虫のような、植物と強い相互作用で結ばれている生物は、その相互作用を通して除草剤から間接的な負の影響を受ける可能性があります。当研究室では、こうした相互作用を介した人為影響の解明のため、実際の生態系を模した”模擬生態系”を用いた操作実験を行っています。

水田生物群集に殺虫剤と水温上昇が与える影響を検証するための模擬生態系実験系

水田生物群集に殺虫剤と水温上昇が与える影響を検証するための模擬生態系実験系。(茨城県つくば市)

2024年10月18日 更新
このページのトップへ戻る