教員紹介
食料資源学科 食料バイオテクノロジーコース
石川 隆二 教授
ISHIKAWA Ryuji
専門分野:
作物育種学
- キーワード:
- イネ
- シークヮーサー
- ヒシ
- 進化
- 育種
- 品種改良
研究内容
主要食料として今後の気候変動に対応できるイネ品種開発や消費者のニーズにあわせたイネ品種開発が求められています.これまでイネ遺伝資源の保全のため,世界各地の遺伝資源を調査してきました.この遺伝資源には野生イネ,在来種,改良品種などがあります.これらを利用して,品種開発への利用や遺伝子機能の解析をしています.
野生イネの遺伝資源探索と育種利用
オーストラリアでは野生イネゲノムの解析を通して,特殊な野生イネ系統のあることを見出しました.この野生イネは栽培イネより大粒の種子をつけます.この粒長の遺伝子をクローニングするとともに栽培品種改良に利用しています(写真:オーストラリアの野生イネ).
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野生イネ遺伝資源調査
在来種の遺伝資源開発と突然変異
栽培イネの研究では,在来種である香り米の遺伝子のうち東北の農家が人為選抜した遺伝子を明らかにしました.赤米として古くから栽培されていた在来種の起源や品種間のゲノムの違いを評価しています.在来種の中には突然変異を生じる系統もあります.この変異の遺伝子をクローニングするためにゲノム配列を利用した方法を開発しています(写真:突然変異体).
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突然変異体の原因遺伝子の解析
品種開発
イネは今後の気候変動によりコメの品質低下が懸念されています.北日本ではこれまでなかったような温暖化により胴割れが生じて等級低下などが起こっています.これまで低温に耐性を示す品種開発が行われてきた地域において,低温のみならず高温で生じる胴割のような障害にあわない耐性品種開発をすすめています.2021年には弘大ライケット1号を品種申請しました(写真:品種弘大ライケット1号).今後も大粒品種や胴割れ耐性の酒米品種などの開発をしていきます.胚乳の変異開発も進めており,モチ品種や米粉利用の変異体の作出とともに原因遺伝子の解析を行っています.
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品種弘大ライケット1号
その他の作物
イネ以外にもヒトが栽培化してきた作物として,水生植物のヒシ,シークヮーサーでは有用樹が栽培されていた沖縄県の地元の方と協力して品種登録に向けて解析をすすめています(写真:シークヮーサー,ヒシ).美味しくて,年中供給できる特殊な開花特性についての遺伝解析もすすめています.
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シークヮーサーの花(上左)
青切り果実(上右)
沖縄の多様なシークヮーサーなどカンキツ(下)
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ヒシ