教員紹介
食料資源学科 食品科学コース
岩井 邦久 教授
IWAI Kunihisa
専門分野:
食品機能科学
- キーワード:
- 栄養化学
- 機能性食品
- 吸収・代謝
- 地域食料資源
- ポリフェノール
研究内容
研究テーマ『地域の食料資源から生理機能の探索と機能性成分の同定および体内動態の解明』
ガマズミ、りんご、ながいも、ツルアラメといった地域の食料資源や未利用資源を研究対象として、生理機能の評価、活性成分の同定や分析を行うことで、血糖低下や肥満予防等の健康に有益な生理機能と機能性成分を探索・解明しています。また、機能性成分の吸収や代謝とそれに及ぼす栄養成分の影響の解明も重要な研究テーマです。さらに、研究を通じた地域社会への貢献にも取り組んでいます。
1. 地域食料資源の生理機能と機能性成分の研究
■ガマズミの生理機能
ガマズミ果実 (図1) はマタギに重用された伝承があり、三戸町の特産物となりました。我々は、ガマズミ果実の抗酸化作用や血糖低下作用を動物試験等で明らかにし、アントシアニン類等の活性成分を同定しました。また、果汁製造後の残渣にも活性を見出し、素材化の技術開発も行いました。
現在、生産者の高齢化と後継者不足が問題となっています。この対策として、収穫ボランティアや飲料のリニューアル等 (図2) も行っています。
■その他の地域食料資源の生理機能
アピオスのACE阻害活性と血圧降下作用、カワラケツメイの肝機能や脂質代謝改善作用、海藻ツルアラメの血糖低下作用と活性成分を明らかにしました。
このような機能性を秘めた地域特有の食料資源が青森県にはまだあると考えられ、活性の探索、有効な利用法等を研究しています。
2. 機能性成分の体内動態とそれに及ぼす栄養成分の作用に関する研究
■りんごペクチンのポリフェノール吸収促進作用
優れた機能性成分でも体に吸収されなければ保健効果は得られません。我々は、りんごのペクチンがフラボノイドの吸収を高める効果を発見し、機能性成分の体内動態の解明と、それに及ぼす栄養成分の影響や機能性の相乗効果を研究しています。これまでに、ケルセチン摂取時のLDLの酸化抵抗性が、ペクチンの同時摂取で強まることを明らかにしました。
3. 食料資源の研究を通じた社会貢献
■商品開発との関わり
アントシアニンの知見と分析技術を基盤に、食品素材に合わせた退色防止技術を開発しました。これによって、地元企業が果肉の赤色を保持した紅の夢ドライアップルを開発、商品化に成功しました (図3)。