教員紹介

食料資源学科 食料生産環境コース

金児 雄 准教授

KANEKO Yu

専門分野:
応用昆虫学

  • キーワード:
  • 蛹変態
  • カイコ
  • 昆虫ホルモン
  • 栄養
  • 脱皮

研究内容

脱皮と変態

ホルモンで制御昆虫は多様な環境に適応した結果、その種数は地球上の生物の半数以上を占めると言われています。そんな多様性を持つ昆虫ですが、成長するために全ての昆虫で共通している現象があります。それが「脱皮」です。また昆虫種の85%が属する完全変態昆虫では、“蛹“という特殊な発育時期を持つことで、幼虫と成虫とでは全く異なる形になります。このような大きな形態の変化は、まるで変身のようであり、古くから多くの人々を魅了してきました。この現象は、「変態」と呼ばれ、じつは脱皮と同時に起こる現象です。

細胞死中の組織変態は、組織の新生、再構成、そして細胞死など様々な生命現象が同時に起こることにより達成されます。変態を研究することは、これらの生命現象をより深く知ることに繋がります。変態は昆虫のホルモンのバランスによって制御されており、またホルモンは栄養状態によって分泌の状態が変化します。そこで当研究室では、栄養とホルモンに着目し、脱皮と変態について分子レベルで研究しています。そのために、ゲノム情報が整備され、かつ様々な分子生物学的手法が確立されている「カイコ」(数少ない昆虫のモデル生物のひとつ)を主な実験動物として使用しています。

昆虫から生物を知り、我々の生活へ役立てる

昆虫は我々の身近に存在している生物です。そのため我々は、昆虫による農作物への被害、衛生害虫による健康被害に、昔から悩まされてきました。昆虫の脱皮と変態の機構をしっかり理解することは、昆虫を制御することへと繋がります。そこで、害虫防除の基盤技術への応用を考えながら研究を進めています。

カイコの繭昆虫の体は、一見すると私達人間とは似ても似つきません。しかし、我々ヒトの体づくりに必須なホメオティック遺伝子群は、じつは昆虫で最初に見つかりました。このように、昆虫はヒトと共通する分子(遺伝子)基盤を多く持っています。そのため、昆虫の発生や生理現象を深く理解することは、普遍的な生命現象の理解にも繋がります。カイコには様々な突然変異体が知られており、これら変異体も有効活用しながら、基礎と応用の両面を目指した研究を私たちは進めています。

2024年10月18日 更新
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