教員紹介

生物学科 生態環境コース

加用 大地 助教

KAYO Daichi

専門分野:
動物生体制御学

  • キーワード:
  • 魚類
  • 生殖
  • 内分泌
  • ステロイドフィードバック
  • 性差

研究内容

 生殖制御のメカニズムは、生命の根幹に関わるため高い保存性を示す一方、それぞれの生物の繁殖戦略に応じた多様性もはらんでいます。脊椎動物においても例外ではなく、古くからこれを解き明かし、生殖医療、水産業や畜産業へと応用する取り組みが行われてきました。

 このメカニズムの教科書的な知見の多くは哺乳類を用いた研究に基づいておりますが、近年の研究から哺乳類のメカニズムはあくまで特殊な一例に過ぎないことを示す証拠が次々と現れてきました。卵生と胎生の違い、産子数の多寡など、多くの要素で哺乳類とは異なる繁殖戦略をとるその他の脊椎動物には、どのような生殖メカニズムが隠されているのでしょうか。この疑問に対し、真骨魚類(主にメダカ)をモデルとして用いた生殖内分泌制御に関する研究を行っています。

メインの実験動物のミナミメダカ(Oryzias latipes)

メインの実験動物のミナミメダカ(Oryzias latipes


主な研究テーマ:生殖腺発達をコントロールする内分泌制御メカニズムの研究

 魚類に限らず動物は、その種に決まった数の子孫を決まったサイクル・条件下で産みだします。例えば健康なメスは、卵を産み過ぎたり、作り過ぎて詰まってしまったりといったことが起こらないように、生殖腺発達をうまく調節しています。ではなぜ、動物個体は次世代を多く作り過ぎる(または少な過ぎる)といった状況が起こらないのでしょうか。これには性ステロイドホルモンによるネガティブフィードバック調節が重要な役割を担っています。これは、主に脳によって調節されており、魚や哺乳類以外の脊椎動物種でも保存されている生殖制御の重要な仕組みです。しかしながら、この調節の分子機構は哺乳類以外の脊椎動物では明らかになっていません。

 本テーマでは、真骨魚類を用いて、脳下垂体より分泌される卵胞発育ホルモン(FSH)とその放出を独占的に支配している脳(特に視床下部)の神経細胞であるコレシストキニン(CCK)ニューロンの制御機構に着目します。FSHはメスの卵巣(いくらやたらこなどの魚卵)およびオスの精巣(フグでいう白子)の発達に最重要のホルモンであることが知られています。CCKニューロンは、2024年に真骨魚類で発見された新規のFSHレギュレーターで、真骨魚類の基礎研究のみならず水産増養殖などの応用分野でも注目を集めています。これらの視床下部‐脳下垂体因子に対し、ネガティブフィードバック調節を中心とした制御機構の全容を明らかにすることを目的とした研究を進めています。

魚類の生殖腺の発達は、哺乳類と同様に視床下部‐脳下垂体‐生殖腺軸(HPG軸)によって制御されています。この制御軸の大枠は共通しているものの、それぞれの内分泌ホルモンが生殖腺発達に与える役割や、中枢神経系でコントロールを担うニューロンが大きく異なっていることが示されています(Kayo et al., 2025, BioEssaysより改変)。

魚類の生殖腺の発達は、哺乳類と同様に視床下部‐脳下垂体‐生殖腺軸(HPG軸)によって制御されています。この制御軸の大枠は共通しているものの、それぞれの内分泌ホルモンが生殖腺発達に与える役割や、中枢神経系でコントロールを担うニューロンが大きく異なっていることが示されています(Kayo et al., 2025, BioEssaysより改変)。

 その他にも、当研究室では、性的二型の形成、性成熟の仕組みや生殖腺移植など、性と生殖にまつわる幅広い事象に関心を向けてその生理機構の解明を目指します。

2026年1月14日 更新
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