教員紹介

生物学科 生態環境コース

ムラノ 千恵 助教

MURANO Chie

専門分野:
環境生態学

  • キーワード:
  • 農地の生態系サービス
  • 持続可能性
  • 個体数動態
  • 動物生態
  • 野生動物管理

研究内容

私たちは、地球上の生態系に包まれて生きています。生きている限り、周辺の生態系と影響し合いますが、私たちの生き方次第で、その影響はマイナスにも、プラスにもなりえます。

当研究室では、人間活動と自然生態系の重要な接点である農地や里山を中心フィールドに、野生動物の生態調査や野生動物管理の研究を行い、人と自然のより持続可能なかかわり方を探ります。

1.果樹園における野生動物の生態調査と個体数管理

果樹園に生息するハタネズミは、時にリンゴ樹を食害するため害獣とされています。このハタネズミは、私に研究の面白さを最初に教えてくれた特別な存在です。

ハタネズミによる果樹被害を抑制するため、ハタネズミの生態調査、個体数の季節変動や変化を引き起こす要因の把握、さらに捕食者を誘引することによる個体数抑制効果の推定など、殺鼠剤に頼らない害獣管理の在り方を研究しています。

同時に、この地域におけるハタネズミの生態学的位置づけを探り、彼らが生み出す生態系サービスについても多面的に評価していくことを目指します。

写真1 りんご園に数多く生息するハタネズミ。その生態は未知な部分も多い

写真1 りんご園に数多く生息するハタネズミ。その生態は未知な部分も多い


写真2 捕食者であるフクロウの繁殖を農地に誘致すると、ハタネズミの個体数密度は有意に低下した

写真2 捕食者であるフクロウの繁殖を農地に誘致すると、ハタネズミの個体数密度は有意に低下した

2.発信機や自動撮影カメラによる野生動物研究

野生動物の移動や行動圏調査、地域の生息数把握は、常に難しい課題です。しかし近年は調査機器の小型化・高性能化によって、少しずつ可能なことが増えてきました。

小型のGPS発信機によって猛禽類の行動を追跡して通年の捕食者効果量を推定したり、自動撮影カメラによって野生動物の農地の利用頻度を調査したりすることによって、農地を利用する野生動物の生態把握や、生態系保全の在り方を研究しています。

写真3 フクロウに小型GPS発信機を装着、通年の行動圏を調査している

写真3 フクロウに小型GPS発信機を装着、通年の行動圏を調査している

3.食性解析

野生動物が何を食べているのかは、保全や管理を考える上で最重要な情報の一つです。

特に人と野生動物の軋轢が存在する場面では、人由来の餌資源の管理を徹底することが解決につながることが多くあります。野生動物の行動追跡や糞のDNA分析によって餌資源を把握し、それを社会にフィードバックすることで、人間社会と野生動物の適切なかかわり方を提案します。

写真4 森林周辺の農地でニホンジカの糞を採集中。野生動物がどのように農地を利用しているのかを明らかにすることで、農地管理の在り方を提案します

写真4 森林周辺の農地でニホンジカの糞を採集中。野生動物がどのように農地を利用しているのかを明らかにすることで、農地管理の在り方を提案します

2024年1月12日 更新
このページのトップへ戻る