教員紹介

食料資源学科 食料生産環境コース

直井 崇 助教

NAOI Takashi

専門分野:
植物病理学・ウイロイド学

  • キーワード:
  • ウイロイド
  • RNAサイレンシング
  • トマト
  • 抵抗性
  • 耐病性

研究内容

最小の植物病原体であるウイロイドを研究対象として、その病原性や病徴発現機構、宿主植物の対ウイロイド防御応答に関して幅広く研究を行っています。ウイロイドは作物や果樹に壊滅的な被害をもたらす病原体ですが、現在のところ有効な防除手段は確立されていません。そのため、研究を通して得られた知見を応用し、実用的なウイロイド防除戦略を構築することを目指しています。

ウイロイドとは?

ウイロイドはタンパク質の殻に覆われていない裸の状態のRNA分子であり、自身のRNA配列中にタンパク質を作るための遺伝情報を持っていません。そんなウイロイドがどのようにして植物に感染し、植物体内で増殖し、なぜ病気を引き起こすのかについては、未だに解明されていない部分が多く残されています。

ウイロイド感染に対する植物の防御機構について

植物の遺伝子発現を制御しているRNAサイレンシング機構は、ウイルス・ウイロイド感染に対する防御の面でも重要な役割を担っています。植物病理学研究室では、このRNAサイレンシング機構の各キー因子がウイロイド感染においてどのような役割を果たしているのかを研究しています (図1)。

図1

図1. 植物の茎頂分裂組織(SAM)は様々な組織に分化する重要な器官であるためウイルス・ウイロイドの侵入から保護されているが(黄矢印)、RNAサイレンシングの重要因子RNA依存RNAポリメラーゼ(RDR)6の発現を抑制したトマトでは、ジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)がSAMの基部へ侵入するようになる(緑矢印)(Naoi et al., 2020)。

ウイロイド感染に対する植物の感受性の違いについて

ウイロイド感染に対して感受性の高い罹病性作物の中には、感染してもほとんど、または全く病徴を示さない耐病性の品種があります。当研究室ではウイロイド感染に対して耐病性を示すトマト品種・近縁野生種に着目し、これらの植物でウイロイドの病徴発現が抑制されるメカニズムについて研究を行っています。

 

図2

図2. トマト近縁野生種の一部は、PSTVdの致死系統に感染してもほとんど発病しない強い耐病性を示す。またこれらの耐病性近縁野生種では、感受性野生トマトと比較してPSTVdの蓄積が低く抑えられている(Naoi and Hataya, 2021)。

2024年1月12日 更新
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