教員紹介

分子生命科学科 応用生命コース

坂元 君年 准教授

SAKAMOTO Kimitoshi

専門分野:
生化学

  • キーワード:
  • ユビキノン
  • ロドキノン生合成機構の解明
  • 寄生虫ミトコンドリア
  • プラナリアのミトコンドリア

研究内容

ユビキノン、ロドキノン生合成機構の解明

ミトコンドリアや細菌のエネルギー産生システムの多くでユビキノンという物質が使われています。別名コエンザイムQとも呼ばれ、サプリメントにもなっています。人でも細菌でも、自身の体内で作っている(生合成している)ことから、これに関連した遺伝子がほとんど分かっています。この「ほとんど」というのが曲者で、これまでの研究と踏襲するだけでは全容解明は難しいともいえます。この未知の部分や、特定の生物に特殊な生合成経路の解明を目指しています。また、エキノコックスなどの寄生虫ではユビキノンと少し構造の異なるロドキノンという物質が利用されており、近年、この生合成関連遺伝子が報告されました。多くの生物で利用されているユビキノンと比較的限定された生物で利用されているロドキノンの生合成関連遺伝子の解明はエネルギー代謝の進化を理解するのに有益な情報を与えてくれるはずです。これら遺伝子の探索を、紅色光合成細菌、寄生虫、プラナリアなどを使って進めています。

寄生虫のミトコンドリア

ミトコンドリアは細胞内小器官の一つで、酸素を使って効率よくエネルギー産生を行う生体装置だと一般的には説明されます。ところが、酸素がほとんど無いところに棲息している生物でもミトコンドリアを巧みに利用して、酸素を使わずにエネルギー産生を行っていることが分かってきています。その一つが寄生虫です。サナダムシの仲間であるエキノコックスは日本では北海道にしかいません。注意していれば感染のリスクはほとんどありませんが、一旦感染すると、現在のところ完治させられる薬はありません。もし、エキノコックスにだけ作用する薬が開発できれば治療薬となる可能性があります。そこで、人とエキノコックスのミトコンドリアの仕組みの違いを明らかにして治療薬の開発に繋げるための研究をしています。

プラナリアのミトコンドリア

プラナリアは扁形動物の一つで、実はエキノコックスも同じく扁形動物に含まれます。単純に人とエキノコックスを比較するだけでなく、進化的に近い生物との比較によってそれぞれの特徴が際立ちます。エキノコックスのミトコンドリアは酸素を使わずにエネルギー産生を行います。さて、プラナリアはどうなっているでしょう?

2023年2月22日 更新
このページのトップへ戻る