教員紹介

食料資源学科 食料生産環境コース

田中 和明 教授

TANAKA Kazuaki

専門分野:
植物病理学・菌学

  • キーワード:
  • 子のう菌類
  • 種多様性
  • 系統分類
  • 寄生菌
  • 腐生菌

研究内容

パンに生える緑色のやつ。風呂場の黒いしみ。毒キノコ。カビ毒。水虫。腐敗・・・菌に対する一般的なイメージは、そんな悪いものばかりでしょう。農業面からみても、植物病害の約75%は菌類によって起こりますので、確かに困った微生物であるといえそうです。

その一方で、キノコは一般的な食材として食卓に登場しますし、トリュフやマツタケのような高級食材も存在します。菌類は味噌・しょう油・日本酒など発酵食品の製造に有効利用されたり、ペニシリンなどで知られる医薬品の原料を産出したりと、人間にもたらす利益も数多くあります。

カビだと思っていたら酵母になったり、キノコだと思っていたらカビになったり、季節ごとに姿を変えて最大5種類の胞子ステージを使ってライフサイクルを1周したり、針葉樹に住んでいたものがリンゴに移って病気を起こしたりと、菌類は変幻自在に生きる生物であるともいえます。

このように多才な菌類ですが、世界に150万種(あるいは500万種)が存在すると推定されているうちの、10数万種程度しかまだ見つかっていません。少なくとも90%以上の菌類が未発見のままであり、我々は限られた既知種のみから菌類の進化を考えたり、その多様性を語ったり、有用な代謝産物を探したりしているのが現状です。ちなみに、生物の多様性が高いとされる日本では、これまでに約1.2万種の菌類が記載されています。しかし、当研究室で調べたところ、多数の未記載種が存在するだけでなく、目や科レベルでも新規系統の菌が見つかっています(図1)。

図1 1新目・11新科・50新属・205新種の子のう菌類を記載・命名

図1 1新目・11新科・50新属・205新種の子のう菌類を記載・命名

あまり日の当たることがない生物群ですが、顕微鏡下にみえる菌類は非常に綺麗です。その美しい姿を眺めながら、菌類の分類や、機能、植物との関わりについて、研究しています(図2)。

図2 研究室での様子

図2 研究室での様子

図3 Carpe Fungum (その菌を摘め) とは、Carpe diem (その日を摘め = 今この瞬間を楽しめ) にちなむラテン語です。菌との出会いは、時に一期一会です。自分たちにしかできない(かも知れない)珍菌との出会いを楽しみながら、菌の研究を進めたいと願っています。我ながら良いタイトルを考えたものだと、感心していたのですが、念のため検索してみましたら、有名な菌学者ブラー博士 (A.H.R. Buller, 1874–1944) が、自身の研究室のモットーとしてこの言葉を掲げていたそうです。まさしく、日の下におおよそ新しいものは無いのかも知れません(2019/8/7、オープンキャンパス用に作成)。

図3
Carpe Fungum (その菌を摘め) とは、Carpe diem (その日を摘め = 今この瞬間を楽しめ) にちなむラテン語です。菌との出会いは、時に一期一会です。自分たちにしかできない(かも知れない)珍菌との出会いを楽しみながら、菌の研究を進めたいと願っています。我ながら良いタイトルを考えたものだと、感心していたのですが、念のため検索してみましたら、有名な菌学者ブラー博士 (A.H.R. Buller, 1874–1944) が、自身の研究室のモットーとしてこの言葉を掲げていたそうです。まさしく、日の下におおよそ新しいものは無いのかも知れません(2019/8/7、オープンキャンパス用に作成)。

2024年1月12日 更新
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