教員紹介

国際園芸農学科 園芸農学コース

張 樹槐 教授

ZHANG Shuhuai

専門分野:
農業機械学

  • キーワード:
  • 農産物の品質評価
  • 非破壊計測
  • 分光測定
  • 画像処理
  • スマート農業

研究内容

最近取り組んでいる“農産物品質の非破壊計測”と“スマート農業”に関する2つの研究成果を紹介します。

魚肉の新鮮度推定へのニオイセンサーMSSの応用

健康志向が世界的なブームとなっていることも相まって,日本食に対する評価が益々高まっている。その中で,寿司や刺身など魚肉の生食スタイルも,世界各地において広がりつつある。一方,生食であるための食中毒の危険も常にはらんでいる。それを防ぐために,現在広く行われている食前検査の一つに,一般生菌数の測定があるが,供試サンプルの前処理や培養などが必要で,より迅速簡便な非破壊検査方法の開発が強く望まれている。そこで本研究は,ニオイセンサーMSSによるマグロ魚肉の非破壊的な新鮮度(一般生菌数)の推定を目的に,ニオイと一般生菌数との関係についてPLS回帰解析で検討した。

その結果,予測モデルで算出された予測値と実測値の間には高い相関があることが確認された。これにより,ニオイセンサーMSSによる測定データを用いることで,魚肉の新鮮度指標の一つである一般生菌数を非破壊的に推定可能であることが強く示唆された。

MSS本体及び動作原理

実験用魚肉

謝辞:本研究はMSSフォーラムの一員として実施したもので,関係者へ深謝の意を表する。

IoT機器による生育中メロン品質のリアルタイム計測

高品質の農産物を生産する目的で,近年育種や栽培・管理技術に加え,スマート農業に代表される情報通信技術を駆使した各種の栽培環境管理技術も開発提案されている。本研究は,温室施設で栽培しているメロンを対象に選び,その生育環境の諸データに加え,分光センシング技術等を基にしたIoT システムを構築して,果実の品質に関わる質量や糖度を経時的に計測・解析し,篤農家の「知恵」や「勘」を可視化して,最終生産物であるメロンの品質をより高める最適な栽培管理技術の構築を最終目的とした。

その結果,安価な小型IoT機器や改造した糖度測定器を用いて,生育中のメロン果実の質量と糖度を経時的に測定することが可能となった。また,日中におけるメロン果実の質量減少と糖度変化の間に相関が確認され,現在これらの成果をメロンの栽培管理や収穫適期判定への応用可能性を検討している。

質量測定のIoT機器

メロン果実の質量変化メロン果実の質量と糖度の日変化
2023年2月22日 更新
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