2023年07月20日 | トピックス

近年,頻繁に発生している豪雨により,全国では毎年のように河川の氾濫や土砂災害が発生しています。
しかし,地域の危険性や過去の災害を知るために行われる防災訓練や緊急時の避難ルールの策定したことで,住民同士が連携して早めの避難を行った結果,多くの事例で難を逃れることができました。

山形県大蔵村肘折地区は,県内でも有数の温泉観光地として知られています。この地域では,国土交通省新庄河川事務所,大蔵村,弘前大学,岩手大学,秋田大学の協力により,「まるごと里ごとハザードマップ※1」の作成に取り組んでいます。
この取り組みは,過去の災害や危険箇所,防災気象情報などを学びながら,地域住民だけでなく観光客にもわかりやすい避難誘導計画の検討を進めており,全国初の取組となっています。
この地区では,7月9日から10日にかけて地域防災力向上のための調査が行われました。弘前大学農学生命科学部地域環境工学科の鄒青穎講師と地域防災に関する研究を行っている学生2名も同行し,地域住民と協力して危険箇所や避難場所,避難経路,そして整備された砂防施設などを確認しました。

さらに,ハザードマップには書かれていないが,地域住民が危険だと感じる場所や,避難所までの経路や避難にかかる時間などについても確認しました。
この取組によって,より住民目線での説明が可能となり,住民の方々にわかりやすい形で情報を提供することができました。

 

 

今後は,調査結果を基に避難経路や避難ルールの検討を進め,地域の防災意識を高めるための避難訓練などを実施する予定です。
また,令和6年12月には「まるごと里ごとハザードマップ」を,地区住民に配布するとともに,避難誘導のための看板を設置する予定です。

 

 

 

 

※1 国土交通省では,平成 18 年 7 月から水災にかかる各種情報を洪水関連標識として表示する「まるごとまちごとハザードマップ」を推進していますが,砂防版を「まるごと里ごとハザードマップ」と呼び,土砂災害危険箇所の確認や避難誘導標識のほかに,手作りの避難経路図の作成に取り組むこことしています。