植物部門の活動内容
白神山地を日本海側多雪地域のモデル地域と捉え、地球温暖化などの地球規模の環境変動がもたらす様々な影響について、植物群落、集団、個体という複数のスケールにおいて予測することを目標とします。そのためにも、白神山地における植物標本コレクションの充実や植物群落記載、集団維持機構の解明などを行い、できるだけ詳細に現状の把握を行います。
また主に菌類を中心に、有用資源の発掘からその利用までを行い、研究結果を地域貢献へとつなげます。
担当スタッフご紹介
研究概要
年輪から森林の過去を紐解く
森林を形成している樹木から年輪サンプルを取り出し、年齢構成から世代交代の実態を再現して森林の維持機構を明らかにしています。また、こうした年輪サンプルの年輪幅には毎年の環境がさまざまな影響を与えていることから、年輪年代学的方法を適用して年輪幅や材密度と過去の気候環境との関連性を解析します。特に20世紀後半に著しくなった地球温暖化が樹木の生長に与えた影響の実体を明らかにします。
これらをもとに、21世紀にはますます顕在化するであろう温暖化による地球全体の環境変動を予測することを目指しています。
多様な草花の繁殖戦略
白神山地にはブナのみならずたくさんの植物達が生育しています。これらの植物は日本海側の厳しい多雪環境に適応し、生育していると考えられます。
本研究所では生活史や繁殖システム、個体群や群集の動態について明らかにするとともに、他地域との比較研究を進めることで、多雪地域の植物種の特徴やその進化過程などを明らかにします。また気象データを活用し、温暖化などの環境変動が植物集団にもたらす影響について捉え、解析する予定です。
微生物を探り利用する
白神山地に生息する目に見えない生物「微生物」を対象にして、生態から利用まで幅広く研究しています。
原核生物に関しては土壌中や樹木表面などに生息する細菌の多様性の解明、真核生物に関しては有用真菌類の取得を目指しており、これまでに、系統的に新規性の高い細菌株やパン・酒類製造に応用が期待できる酵母を白神山地から分離しています。
フォトギャラリー
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研究詳細
弘前大学白神自然環境研究センターの植物部内の研究詳細を随時更新いたします。