センターの専任教員(相馬助教)が世界自然遺産の小笠原諸島に固有の昆虫に関する論文を出版しました!
書誌情報と解説を以下に示しました!
オープンアクセスなので、リンク先から誰でも閲覧できます!
Souma, J. & Nakahama, N. (2026) Genome-wide SNP data reveal phylogenetic relationships and further new species of lace bugs (Hemiptera, Heteroptera, Tingidae) endemic to the Japanese oceanic islands (the Ogasawara Islands), providing insight into their speciation. Zookeys, 1294, 175–203. https://doi.org/10.3897/zookeys.1294.205145
小笠原諸島は陸貝や植物の進化生物学的研究により世界自然遺産として登録されました。しかし、440固有種が知られる昆虫では進化生物学的研究が不足しています。グンバイムシ科(カメムシ目)では、同諸島に2固有属(ムニングンバイ属Acanthomoplax Souma & Kamitani, 2021とオガサワラグンバイ属Omoplax Horváth, 1912)に含まれる8種が知られています。オガサワラグンバイ属は7種で構成され、6種が同諸島内の特定の列島に分布します。また、寄主植物が判明している6種のうち、5種が特定の樹種を利用します。オガサワラグンバイO. desecta (Horváth, 1912)のみ複数の列島に分布し、在来植物のシマシャリンバイ(バラ科)だけでなく移入植物のテリハボク(テリハボク科)に寄生します。本研究では、ホロタイプのみが存在するムコジマグンバイO. mukojimensis Souma, 2022をのぞく6種を対象に、縮約ゲノム情報を用いて属内の系統関係を推定しました。加えて、オガサワラグンバイの父島列島と母島列島の個体群を対象に、集団遺伝構造を推定しました。遺伝的ならびに形態的差異を踏まえて、母島列島でオガサワラグンバイと同定されていた個体群を新種サンドルグンバイO. sandoru Souma, 2026として記載しました。結果として、同諸島から9固有種の本科が確認されました。さらに、本属の種分化に寄主転換と地理的隔離が貢献した可能性を示唆しました。オガサワラグンバイで確認されているテリハボクのホストレースは人間活動による植物の移入に伴いシマシャリンバイのホストレースから最近形成されたという仮説も提案しました。なお、サンドルグンバイはシマシャリンバイにのみ寄生します。現在のところ、ムニングンバイA. tomokunii Souma & Kamitani, 2021とムコジマグンバイでは十分なDNAが抽出可能な標本が得られていません。さらなる無人島での調査により、固有グンバイムシの進化史を完全に解明できる日が訪れるはずです。最終的には固有属だけでなく他地域の近縁属も含めて、東アジアにおけるグンバイムシの急速な適応放散の歴史的背景を突き止めたいです。



オガサワラグンバイOmoplax desecta (Horváth, 1912)
本論文については弘前大学HPにプレスリリースが掲載されています。
PDF形式はこちらになります。























