白神自然環境研究センター(旧白神自然環境研究所)は,平成30年11月9日(金),西目屋村に白神自然観察園西目屋分室を設置し,西目屋村役場にて,オープニングセレモニーを開催しました。
同研究センターは,2009年に西目屋村川原平に白神自然観察園を整備し,この観察園を拠点に様々な研究教育活動を行ってきました。その中でも地域の自然史研究の要となる生物標本の収集は,当研究センターの活動の柱の1つであり,これまで収集,整理してきた標本は,主に青森県に自生する維管束植物を中心とした腊葉標本と昆虫を中心とした動物標本等です。
植物については,白神山地の植物相解明に尽力した盛岡大学齋藤宗勝元教授から寄贈を受けた約3,500点あまりの標本と青森県野生植物研究家の細井幸兵衛氏から寄贈された約3万2,000点の標本を中心に約5万点の植物標本を管理しており,青森県最大級の植物標本コレクションであす。これらの標本の多くは地球規模生物多様性情報機構GBIFに標本データが登録されつつあり,国際的に当研究センターの標本の存在が周知されるようになっています。
動物については,当研究センター教員により白神山地を中心に収集された昆虫標本と青森県内の昆虫愛好家から寄贈を受けた昆虫標本,合わせて約7万点を収蔵しています。
これらの標本は収蔵・管理するためにはある程度の面積の収蔵スペースが必要となりますが、大学内に広さと適切な場所を確保することは難しく,当研究センターでは収蔵庫を設置できる場所を探していたところ,本学と連携協定を締結している西目屋村のご厚意で旧津軽ダム工事事務所(同村田代)の別棟を提供していただくこととなり,開設の準備を進めてきました。
開所式では,佐々木長市弘前大学農学生命科学部長からの挨拶に続き,西目屋村関和典村長から「白神山地世界自然遺産登録25周年の記念する年に分室がオープンすることは村民の自信や誇りにつながる。今後も白神山地に関係する機関が連携し活動していきたい。」と祝辞が述べられました。また,檜垣研究センター長,中村准教授,山岸助教から,分室設置の経緯と標本プロジェクトの現況について説明をいたしました。
引き続き,分室に移動し,関係者らが見守る中,佐々木学部長,檜垣研究センター長,関村長,長利教育長の4氏が分室の看板を掲げました(下の写真)。その後、分室見学では,中村准教授から動物標本,山岸助教から植物標本についてそれぞれ説明させて頂きました。
同研究センターでは,西目屋村は当研究センターの自然観察園が位置する場所であり,新設した西目屋分室は大学キャンパスと自然観察園の中間に位置する。また,冬期間の利用も可能な標本収蔵拠点を開設したことにより,西目屋村から青森県の自然史研究のさらなる推進へと繋げていきたいと考えています。また,次世代を担う子供達への教育の場としても活用できるように西目屋村や関係諸機関と共に今後の方針を検討していく予定です。