弘前大学 農学生命科学部附属 白神自然環境研究センター 白神山地で学び世界を見つめる

遊歩道の閉鎖が解除されました。

倒木の危険があったために閉鎖しておりました観察園の散策路は
通常通り通行できるようになりました。
ご利用の際は、コロナ対策を施して頂き、落枝や野生動物などとの遭遇に
ご注意いただきますようお願い申し上げます。

白神自然観察園 遊歩道の一部閉鎖につきまして

白神自然観察園の一部閉鎖のお知らせとお願い:不識塔にまっすぐ登る園路の途中に危険な樹木が確認され、処理中です。このため、当面の間は図に示した区間を立ち入り禁止とします。不識塔に登る場合は、う回路をご利用ください。利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願い申し上げます。

【3月19日】公開シンポジウム「白神・青森の大地から見えてくる温暖化の将来」開催のご案内

環境研究総合推進費【 2-2006 】一般公開シンポジウム
「白神・青森の大地から見えてくる温暖化の将来」
~ 研究の最前線からの報告 ~

国立環境研究所地球環境研究センターおよび弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター共催で,令和3年3月19日(金)に標記シンポジウムをオンライン開催します。
森林がCO2の大きな吸収源であることは広く知られていますが,気候変動が進んだ将来でも吸収源でありつづけるかどうかについては分かっていないことも多くあります。今回は森林のCO2収支と気候変動への応答を対象とした研究の中で,青森・白神を舞台とした最新の結果などを紹介します。
参加費無料ですので,興味のある皆さまのご参加をお待ちしております。

■日 時 令和3年3月19日(金) 14:00~16:30
※Zoomミーティングによるオンライン開催です。
■申 込 電子メールで事前登録をお願いします。参加費無料、定員100名です。
タイトルを「公開シンポ参加希望」とし、本文に参加者氏名と居住地(市町村)を記載の上、下記宛にE-mailでお申し込みください。
宛先: 2021sympo-nies-hu@nies.go.jp (推進費2-2006課題公開シンポジウム事務局)
■共 催 国立環境研究所地球環境研究センター・弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター
■後 援 青森県地球温暖化防止活動推進センター・白神山地ビジターセンター
■プログラム
14:00 開会挨拶 石川 幸男(弘前大学)
14:10 趣旨・研究概要説明 高橋 善幸(国立環境研究所)
14:20「温暖化の現状と白神の観測でわかったこと」 石田 祐宣(弘前大学)
14:45「温室効果ガスの観測からわかる炭素循環」
~温暖化で白神の土から出るCO2が増える!?~ 寺本 宗正(鳥取大学)
15:05「放射性炭素からわかる炭素循環」
~炭素の時計で考える 大気と土壌の繋がり~ 安藤 麻里子(原子力研究開発機構)
15:20「遺伝解析からわかる炭素循環」
~遺伝子から見えてくる 目には見えない土壌の変化~
近藤 俊明(国際農林水産業研究センター)
15:35「気候変動はリンゴ園の炭素の出入りに
どのように影響するのか」 伊藤 大雄(弘前大学)
16:00 総合討論・質問など
16:20 閉会挨拶 梁 乃申(国立環境研究所)
16:30 閉会

詳しくはこちら symposium_20210319 (1)

白神自然観察園は冬季閉園中です。

白神自然観察園は県道の冬季閉鎖に伴い閉園中です。
2021年度の開園は5月を予定しております。詳細が決まりましたらまた掲示いたします。ご利用いただきまして有難うございました。

「ふるさとの植物 保全育成事業」を木造高校と行っています。

白神自然環境研究センターは,新潟大学教育学部,市民グループ津軽植物の会などとの合同チームで,2017年につがる市で希少な水生植物「ガシャモク(ヒルムシロ科)」を発見しました。「ガシャモク」は,現在,つがる市以外では北九州市のみでしか自生が確認されておらず,日本国内からの絶滅が危惧されています。

つがる市での本種発見以降の研究により,この自生地において国内新産雑種「ツガルモク」が発見されるなど,水草の多様性が非常に高いことが明らかになりました。

(これまでの研究内容についてはこちらをご参照ください⇒https://academist-cf.com/journal/?p=12577

しかし,この沼は閉鎖系の水域であるため,今後様々な要因で生育地環境に変化が生じた場合,「ガシャモク」の生育に大きな影響を与える可能性があります。

当センターでは,青森県産の希少植物の育成および生育地保全の活動を通して,地域の自然環境の大切さを認識するとともに,豊かな自然環境を地元ベースで次世代へと引き継いでいく地盤を形成することを目的に「ふるさとの植物 保全育成事業」を行っています。この一環として2020年春からこの生育地近くの青森県立木造高等学校と「ガシャモク」の生育地外保全活動(ガシャ活)に取り組んできました。

また、2020年11月17日に,この約半年間の活動に関する報告会を木造高校で開催するとともに,当活動にご理解を頂きご支援を頂きました株式会社ラビプレ三浦和英社長のご出席のもと寄附贈呈式を行いました。来年も活動を継続してくれる2年生6名は,制作したポスターを利用しながらこれまでの活動内容を丁寧に発表し,最後に「地域の宝を小中学生に伝える活動を今後行いたい。」と抱負を述べました。その後,野外で越冬のためにガシャモクの殖芽や種子を鉢に植え替える作業を行いました。

活動に参加した皆さんが来年の春に,無事ガシャモクが芽吹くことをとても楽しみにしていた様子が印象的でした。

写真や新聞記事は農学生命科学部のページをご覧ください。

⇒https://nature.hirosaki-u.ac.jp/tell/11000

福田学長が白神自然観察園及び白神自然観察園田代分室を視察しました

令和2年4月に学長に着任された福田眞作学長をはじめ,吉澤理事,渡邊理事,郡理事,石川理事の5名の本学役員が,農学生命科学部附属白神自然環境研究センターの白神自然観察園及びその田代分室を視察しました。詳しくは↓をご覧ください。

20201027【白神センター】学長等視察報告

日本新産となる水草の雑種「ツガルモク」を発見-希少種ガシャモクと近縁種エゾヒルムシロの雑種-

青森県つがる市の池から日本国内初記録となる水草Potamogeton ×angustifoliusが発見され,「ツガルモク」と名づけられました。国内の自生地が2ヶ所のみで確認されている希少種ガシャモクと,近縁種であるエゾヒルムシロの雑種です。2017年につがる市で発見された,ガシャモクが生育する池で発見されました。「ツガルモク」という和名は,発見地である津軽地方と親種であるガシャモクに由来しています。この水草は海外にも分布していますが,国内ではこの池が現在のところ唯一の自生地です。
この成果は,北海道大学総合博物館の首藤光太郎助教(発見時新潟大学教育学部研究員),福島県いわき市在住の植物研究家である薄葉満氏,弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センターの山岸洋貴助教,および新潟大学教育学部の志賀隆准教授らによる共同調査によって明らかになりました。論文は,2020年3月17日に日本植物分類学会が出版する英文雑誌 Acta Phytotaxonomica et Geobotanica誌にオンライン掲載されました。この池からのガシャモクの発見(2017年),この池が国内屈指の水草の多様性・希少性を示すことの発見(2018年)に続く研究成果となります。

【本研究成果のポイント】
 日本新産となる水草Potamogeton ×angustifoliusを青森県つがる市の池で発見しました。
 2017年に発見された希少種「ガシャモク」と近縁種「エゾヒルムシロ」の雑種です。
 発見地と片親であるガシャモクに因み,「ツガルモク」という和名を名付けました。
 この池が今の所国内唯一の産地です。
 これまでに発見されたガシャモクや多様な水草とともに,保全していく必要があります。

観察園の一時利用制限につきまして「クマの出没」

最近、白神自然観察園周辺および園内にてクマの目撃情報があり、またセンサーカメラによりクマが撮影されています(9月30日現在)。そこで観察園の一般の方のご利用を制限させていただく事になりました。しばらくは閉鎖し、経緯を見守りたいと思います。特別な事情があり、利用される方は事前に当研究センター0172-39-3706および3707まで事前にご連絡くださいますようお願い申し上げます。

講演会「津軽半島の水辺から美しい水生植物の世界へ」開催のお知らせ

8月24日土曜日に弘前大学にて講演会「津軽半島の水辺から美しい水生植物の世界へ」を開催いたします。
青森県ではつがる市におけるガシャモクの生育確認などにより、水草や水辺環境への関心が高まりつつあります。
この度、水草研究会の全国集会が弘前で開催されることもありまして、3名の水草、水辺研究者の方にご講演いただくことになりました。よろしければ是非お越しください。
事前申し込みは必要ありません。入場無料です。

 

1.日時:2019年8月24日(土) 10時~12時

9:30-     開場
10:00-10:05 開会の挨拶
10:05-10:35 「みんなでのぞいてみよう、水草の世界」(志賀隆 新潟大学准教授)
10:35-11:05 「もう一つの水草の仲間?車軸藻類について」(加藤将 新潟大学助教)
11:05-11:45 「屏風山湖沼群の生物」(大高明史 弘前大学教授)
11:45-11:55 質疑応答
11:55-12:00 閉会の挨拶

2.会場:弘前大学創立 50 周年記念会館・岩木ホール <事前申込は不要です。>

3. 要旨:
津軽半島の水辺には、美しく面白い世界が広がっています。
水生植物や水生生物の研究者が語る水辺についての講演会です。青森県ではなかなか話を聞くチャンスがない水草研究者や長年津軽半島の自然をみてこられた
研究者の貴重なお話が聞けます。短い時間ですが是非ご参加ください。

講演会チラシ

共催:水草研究会、弘前大学
後援:津軽植物の会、青森自然環境研究会、一般財団法人弘前市みどりの協会

お問い合わせ先:
弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター 山岸 洋貴
電話・FAX:0172-39-3706 hyama@hirosaki-u.ac.jp

絶滅危惧植物「ガシャモク」が生育する青森県つがる市の池が全国屈指の水生植物の多様性を示すことを発見

一昨年(2017年)につがる市から発見された「ガシャモク(ヒルムシロ科)」が生育する池に,ガシャモク以外にも様々な水生植物が生育しており,その多様性と希少性が全国屈指であることがわかりました。この結果は,発見されたガシャモクだけでなく,この池そのものが,国内における水生植物の保全上重要であることを示すものです。新潟大学教育学部の首藤光太郎研究員(2019年3月まで在籍,現北海道大学・助教)および志賀隆准教授,弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センターの山岸洋貴助教らに加え,市民グループである津軽植物の会や青森自然環境研究会などの多くの組織や研究者が参加した研究グループによる共同調査によって明らかになりました。論文は,Journal of Asia-Pacific Biodiversity誌に2019年2月23日(日本時間)にオンライン公開されました。

Shutoh K, Yamanouchi T, Kato S, Yamagishi H, Ueno Y, Hiramatsu S, Nishihiro J, Shiga T. The aquatic macrophyte flora of a small pond revealing high species richness in the Aomori Prefecture, Japan. Journal of Asia-Pacific Biodiversity (in press). doi: 10.1016/j.japb.2019.02.006

調査の背景

一昨年(2017年),希少水生植物ガシャモク(Potamogeton lucens :ヒルムシロ科ヒルムシロ属)の新たな産地が,青森県つがる市のある池から発見されました。国内2ヶ所目の現存自然集団で,これまで知られていた同種の国内の北限を500 km以上更新することとなりました。

この池には,一見してガシャモクの他にも多様な水生植物の生育が確認できました。また,池内にどのような水生植物が生えているかを明らかにすることは,ガシャモクを保全していく上で重要です。そこで,2017年から2018年にかけて,池内で水生植物相の調査(池内に生育する水生植物種をリストアップすること)を行いました。

成果

調査の結果,この池にはガシャモクのほかにミズオオバコやイトイバラモなどの15種のレッドリスト掲載種(環境省または青森県)を含む,合計57種類にもおよぶ水生植物が生育していることが明らかになりました。日本の湖沼に生育する水生植物データベースを用いて現存種数と希少性(環境省レッドリストに掲載された種をランクに基づいて傾斜配点したもの)を評価したところ,2001年以降に調査が行われた66湖沼の中で,現存種数および希少性はともに4位となりました(※2001年以降に水生植物相調査が行われた湖沼がわずかであるため,実際の種多様性および希少性を示す順位とは限りません)。この結果は,ガシャモクの生育する池が,日本国内における水生植物の保全上,重要な池であることを示唆します。上位の湖沼のほとんどが大型の水域である一方で,調査した池の面積がわずか0.14 km2ほどであることを考慮すると,驚くべき多様性であると言えます。

この池がなぜこのような多様性と希少性を示すことになったかは,現時点では明らかになっていません。現在もつがる市の多くの水辺に多様な水生植物が生育していることや,人為的な撹乱を受けて池が誕生した結果,多様な環境を内包するようになったことなどが関係した可能性があります。また,この池は誕生から比較的歴史が浅く,今後環境が変化していく可能性もあります。継続的な調査によって,経過を見守り,原因を探っていく必要があります。

 

 

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