弘前大学 農学生命科学部附属 白神自然環境研究センター 白神山地で学び世界を見つめる

講演会「津軽半島の水辺から美しい水生植物の世界へ」開催のお知らせ

8月24日土曜日に弘前大学にて講演会「津軽半島の水辺から美しい水生植物の世界へ」を開催いたします。
青森県ではつがる市におけるガシャモクの生育確認などにより、水草や水辺環境への関心が高まりつつあります。
この度、水草研究会の全国集会が弘前で開催されることもありまして、3名の水草、水辺研究者の方にご講演いただくことになりました。よろしければ是非お越しください。
事前申し込みは必要ありません。入場無料です。

 

1.日時:2019年8月24日(土) 10時~12時

9:30-     開場
10:00-10:05 開会の挨拶
10:05-10:35 「みんなでのぞいてみよう、水草の世界」(志賀隆 新潟大学准教授)
10:35-11:05 「もう一つの水草の仲間?車軸藻類について」(加藤将 新潟大学助教)
11:05-11:45 「屏風山湖沼群の生物」(大高明史 弘前大学教授)
11:45-11:55 質疑応答
11:55-12:00 閉会の挨拶

2.会場:弘前大学創立 50 周年記念会館・岩木ホール <事前申込は不要です。>

3. 要旨:
津軽半島の水辺には、美しく面白い世界が広がっています。
水生植物や水生生物の研究者が語る水辺についての講演会です。青森県ではなかなか話を聞くチャンスがない水草研究者や長年津軽半島の自然をみてこられた
研究者の貴重なお話が聞けます。短い時間ですが是非ご参加ください。

講演会チラシ

共催:水草研究会、弘前大学
後援:津軽植物の会、青森自然環境研究会、一般財団法人弘前市みどりの協会

お問い合わせ先:
弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター 山岸 洋貴
電話・FAX:0172-39-3706 hyama@hirosaki-u.ac.jp

絶滅危惧植物「ガシャモク」が生育する青森県つがる市の池が全国屈指の水生植物の多様性を示すことを発見

一昨年(2017年)につがる市から発見された「ガシャモク(ヒルムシロ科)」が生育する池に,ガシャモク以外にも様々な水生植物が生育しており,その多様性と希少性が全国屈指であることがわかりました。この結果は,発見されたガシャモクだけでなく,この池そのものが,国内における水生植物の保全上重要であることを示すものです。新潟大学教育学部の首藤光太郎研究員(2019年3月まで在籍,現北海道大学・助教)および志賀隆准教授,弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センターの山岸洋貴助教らに加え,市民グループである津軽植物の会や青森自然環境研究会などの多くの組織や研究者が参加した研究グループによる共同調査によって明らかになりました。論文は,Journal of Asia-Pacific Biodiversity誌に2019年2月23日(日本時間)にオンライン公開されました。

Shutoh K, Yamanouchi T, Kato S, Yamagishi H, Ueno Y, Hiramatsu S, Nishihiro J, Shiga T. The aquatic macrophyte flora of a small pond revealing high species richness in the Aomori Prefecture, Japan. Journal of Asia-Pacific Biodiversity (in press). doi: 10.1016/j.japb.2019.02.006

調査の背景

一昨年(2017年),希少水生植物ガシャモク(Potamogeton lucens :ヒルムシロ科ヒルムシロ属)の新たな産地が,青森県つがる市のある池から発見されました。国内2ヶ所目の現存自然集団で,これまで知られていた同種の国内の北限を500 km以上更新することとなりました。

この池には,一見してガシャモクの他にも多様な水生植物の生育が確認できました。また,池内にどのような水生植物が生えているかを明らかにすることは,ガシャモクを保全していく上で重要です。そこで,2017年から2018年にかけて,池内で水生植物相の調査(池内に生育する水生植物種をリストアップすること)を行いました。

成果

調査の結果,この池にはガシャモクのほかにミズオオバコやイトイバラモなどの15種のレッドリスト掲載種(環境省または青森県)を含む,合計57種類にもおよぶ水生植物が生育していることが明らかになりました。日本の湖沼に生育する水生植物データベースを用いて現存種数と希少性(環境省レッドリストに掲載された種をランクに基づいて傾斜配点したもの)を評価したところ,2001年以降に調査が行われた66湖沼の中で,現存種数および希少性はともに4位となりました(※2001年以降に水生植物相調査が行われた湖沼がわずかであるため,実際の種多様性および希少性を示す順位とは限りません)。この結果は,ガシャモクの生育する池が,日本国内における水生植物の保全上,重要な池であることを示唆します。上位の湖沼のほとんどが大型の水域である一方で,調査した池の面積がわずか0.14 km2ほどであることを考慮すると,驚くべき多様性であると言えます。

この池がなぜこのような多様性と希少性を示すことになったかは,現時点では明らかになっていません。現在もつがる市の多くの水辺に多様な水生植物が生育していることや,人為的な撹乱を受けて池が誕生した結果,多様な環境を内包するようになったことなどが関係した可能性があります。また,この池は誕生から比較的歴史が浅く,今後環境が変化していく可能性もあります。継続的な調査によって,経過を見守り,原因を探っていく必要があります。

 

 

白神自然観察園 2019年の開園

白神自然観察園は大型連休後の5月7日に開園いたします。現在雪が溶けてカタクリやイワウチワなどが花を咲かせ、クロサンショウウオやヤマアカガエルの卵のうを池で観察する事ができます(4・26)。

白神自然観察園オリジナルカレンダー2019

弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター白神自然観察園オリジナルカレンダーはこちらからダウンロードできます。
今回の図柄は白神岳気象タワーに設置されているインターバルカメラの画像を利用しました。向白神岳の季節変化をお楽しみください。

ダウンロードはこちらから ⇒calender 2019

観察園は冬季閉園中です。

こちらでお知らせするのが遅くなりましたが、白神自然観察園は只今閉園中です。
白神ラインは砂小瀬ゲートから閉鎖されておりますので、来年度の開園は通行止め解除以降になる見込みです。

白神自然環境研究センター 研究紹介セミナー(学内向け)を開催いたしました。

4月より農学生命科学部附属の白神自然環境研究センターが発足し、農学生命科学部内の組織であるスケールメリットを生かして、研究の新たな展開を目指しています。そのために、これまでの白神自然環境研究所当時に築いてきた事業の基礎的な組み立てと、専任教員と協力教員の研究内容や成果を紹介するセミナーを、12月5日、15:00から18:00にコラボ弘大8階の八甲田ホールで開催しました。他学部の教員や学生あわせて26名にお集まりいただき、今後の研究の展開や連携についての議論を交わすことができました。

西目屋村田代に白神自然観察園西目屋(田代)分室が開所いたしました。

白神自然環境研究センター(旧白神自然環境研究所)は,平成30年11月9日(金),西目屋村に白神自然観察園西目屋分室を設置し,西目屋村役場にて,オープニングセレモニーを開催しました。
同研究センターは,2009年に西目屋村川原平に白神自然観察園を整備し,この観察園を拠点に様々な研究教育活動を行ってきました。その中でも地域の自然史研究の要となる生物標本の収集は,当研究センターの活動の柱の1つであり,これまで収集,整理してきた標本は,主に青森県に自生する維管束植物を中心とした腊葉標本と昆虫を中心とした動物標本等です。

植物については,白神山地の植物相解明に尽力した盛岡大学齋藤宗勝元教授から寄贈を受けた約3,500点あまりの標本と青森県野生植物研究家の細井幸兵衛氏から寄贈された約3万2,000点の標本を中心に約5万点の植物標本を管理しており,青森県最大級の植物標本コレクションであす。これらの標本の多くは地球規模生物多様性情報機構GBIFに標本データが登録されつつあり,国際的に当研究センターの標本の存在が周知されるようになっています。

動物については,当研究センター教員により白神山地を中心に収集された昆虫標本と青森県内の昆虫愛好家から寄贈を受けた昆虫標本,合わせて約7万点を収蔵しています。

これらの標本は収蔵・管理するためにはある程度の面積の収蔵スペースが必要となりますが、大学内に広さと適切な場所を確保することは難しく,当研究センターでは収蔵庫を設置できる場所を探していたところ,本学と連携協定を締結している西目屋村のご厚意で旧津軽ダム工事事務所(同村田代)の別棟を提供していただくこととなり,開設の準備を進めてきました。

開所式では,佐々木長市弘前大学農学生命科学部長からの挨拶に続き,西目屋村関和典村長から「白神山地世界自然遺産登録25周年の記念する年に分室がオープンすることは村民の自信や誇りにつながる。今後も白神山地に関係する機関が連携し活動していきたい。」と祝辞が述べられました。また,檜垣研究センター長,中村准教授,山岸助教から,分室設置の経緯と標本プロジェクトの現況について説明をいたしました。

引き続き,分室に移動し,関係者らが見守る中,佐々木学部長,檜垣研究センター長,関村長,長利教育長の4氏が分室の看板を掲げました(下の写真)。その後、分室見学では,中村准教授から動物標本,山岸助教から植物標本についてそれぞれ説明させて頂きました。

同研究センターでは,西目屋村は当研究センターの自然観察園が位置する場所であり,新設した西目屋分室は大学キャンパスと自然観察園の中間に位置する。また,冬期間の利用も可能な標本収蔵拠点を開設したことにより,西目屋村から青森県の自然史研究のさらなる推進へと繋げていきたいと考えています。また,次世代を担う子供達への教育の場としても活用できるように西目屋村や関係諸機関と共に今後の方針を検討していく予定です。

白神自然環境研究所オリジナル2018年カレンダー

2017年も皆様に大変お世話になりました。クマの出没により観察園の利用制限などがあり、ご不便をおかけしたところもありましたが、皆様のご協力で大きな事故などなく、1年間を過ごす事ができました。心から御礼申し上げます。来年度のカレンダーをよろしければダウンロードしてご利用ください。

白神岳山頂の風景を4カットほど掲載したものです。

カレンダー2018大 ←ダウンロードはこちらから。

皆様、良いお年をお迎えください。来年が皆様にとって素晴らしい1年となりますよう心からお祈り申し上げます。

 

白神自然観察園 (西目屋村川原平)の冬季閉鎖のお知らせ

弘前大学白神自然環境研究所付属白神自然観察園は12月1日より冬季閉鎖となりました。来年は5月1日の開園を予定しております。

シンポジウム 未来へつなぐ~津軽半島の豊かな自然~ の開催について

地域のみなさま、もちろんお子様も。水草に興味がある方。津軽半島の自然に興味がある方。地域の自然と教育をつなげたい方など、どなたでもご参加いただけます。心よりお待ちしております。

日時 2017年 12月11日月曜日 17:00~ (およそ2時間程度を予定)
16:30開場 入場無料

会場 つがる市生涯学習交流センター「松の館」交流ホール
http://www.city.tsugaru.aomori.jp/sisetu/00001.html

つがる市で発見されたガシャモクとはどんな植物でしょうか?そしてガシャモクが生きる津軽半島にはどんな自然があるのでしょうか?このシンポジウムでは、5人の講師の皆様からガシャモクや津軽半島の自然についてわかりやすく、楽しく話題提供して頂きます。つがる市にお住まいの皆様をはじめ青森県の自然に興味をお持ちの皆様、ガシャモクについて知りたい皆様のご来場をお待ちしております。

講演者およびスケジュール

17:00~17:05 主催者挨拶

17:05~17:30 基調講演1
~「つがる市で発見されたガシャモクの価値・謎・今後の展開」~
新潟大学教育学部産学官連携研究員首藤光太郎博士

17:30~17:50  基調講演2
~「北九州市のガシャモク 衰退・再生そして今後」~
北九州市立自然史・歴史博物館 いのちのたび博物館 真鍋徹学芸員

17:50~18:05
~津軽における水草について~
津軽植物の会会員 石戸谷芳子さん

18:05~18:20
~「屏風山地域の湿原の現状と今後の課題—–ベンセ湿原を中心に—–」~
青森県自然環境研究会 斉藤信夫さん

18:20~18:30
~自然史研究がつなぐ郷土の自然~
弘前大学白神自然環境研究所 准教授中村剛之

18:30~
質疑・応答

問い合わせ先
弘前大学白神自然環境研究所 山岸
TEL & FAX 0172-39-3706
E-mail hyama@hirosaki-u.ac.jp

【弘前より会場へ向かわれる方】

弘前大学正門より無料送迎バスが出ます。【先着50名まで】
当日15:30正門より無料バスが出ます。このバスのご利用を希望される方は弘前大学白神自然環境研究所(TEL & FAX 0172-39-3706)まで12月8日まで必ずご連絡ください。お帰りは20:30ごろ正門に到着予定です。

※会場での飲食について
会場、ロビーでの飲食は禁止となっております。そこで会議室をご用意いたしました。そちらでお召し上がりください。また飲食物の販売はしておりませんが会場入り口向かいにコンビニエンスストアがありますのでそちらが便利です。大変申し訳ございませんが原則ゴミはお持ち帰られますよう、お願い申し上げます。

 

主催 弘前大学白神自然環境研究所、新潟大学教育学部、
環境研究総合推進費4-1705「湿地の多面的価値評価軸の開発と広域評価に向け
た情報基盤形成」研究チーム、

後援 環境省東北環境事務所、青森県、つがる市、津軽植物の会、青森県自然環境研究会

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